THE GROOVERS 藤井一彦が語る、ニューアルバム「Groovism」の全貌。
10曲目「UNDER THE FOGGY MOON」

liveikoze : ラスト前の位置に切ないスローバラードですね。

藤井一彦 : 位置的にはね。まあ音的な仕上がりにもよるけど、録る前からその位置の曲だなと、わりと見えていたかな。これは去年出したアコースティック・ソロアルバムの方に先に入れたんだけど、順番がたまたま先だったっていうだけで、作った時から両方のアルバムに入れたいなと思っていた唯一の曲です。

liveikoze : 大切な曲なんですね。

藤井一彦 : そうですね、わりといい詞が書けたなと思ったんで。

liveikoze : この歌詞にも"神"が入ってますけど(笑)。

藤井一彦 : そうだね。つい使っちゃうんだよ。でも最近思ったんだけど、佐野さんのアルバム聴いたら、佐野さん、常套句をめちゃくちゃいっぱい使っていらして! 「なんだ、使っていいんだ!」と思っちゃった(笑)。使いすぎてしまう言葉って、あるじゃん。それはしょうがないわけ、常套句だから。詞を書く上で、例えば"夜"っていうフレーズ禁止ってやってると書けない。"夜"とか"世界"とか、たまに使わないで書こうとするんだけどかなり難しい。で、佐野さんの新譜を聴いたら、今まで散々使われてた言葉もあらためて使いまくっていらっしゃって(笑)、でもそれが素晴らしかった! むしろ開き直りの気持ち良さ、カッコ良さみたいなものまで感じて。

liveikoze : それが佐野さん節であり、この作品は藤井さん節であると思いますけど。

藤井一彦 : そうなんだなと思いました(笑)。

liveikoze : そうですよ、それが藤井さんの歌なんですから。

藤井一彦 : そうだね。自分節をやりつつ、なんだろう…ずっと回転してるけど、螺旋階段みたいに上に登って行ければと。同じところにずっと居るんじゃなくて。上がって行けたり動いて行けたりすれば良いのかなって。

liveikoze : とはいってもこの曲には、諦めのようなものを感じたのですが。

藤井一彦 : 諦めというか、「喪失」については、震災をきっかけに一度向き合って書いた方が良いかなって思って。これは震災の後、最初に作った曲かもしれない。

liveikoze : そうなんですか。そういえばこの曲には、諦めの中にも少しの希望が見え隠れしてますよね。

藤井一彦 : そうだね。だから安易な頑張ろうじゃなくてね。そんなの俺らが言えるほど簡単なことじゃないから、そこで大きな悲しみを持った人達には。だけどそういう立場の俺らも、何か表現するべきだと思いました。

11曲目「最果て急行」

liveikoze : 欲望、怠慢、傲慢という人間の業というべき言葉を並べ、"天井知らずの 俺でいいだろう"と言い放つことで、「それを全て飲み込んで進むよ」というバンドの意思表示と捉えていいですか?

藤井一彦 : うーん、そういう気持ちがあった時もあったけど、そんな熱血じゃないなぁ(笑)。これ、一番最後に作ったんですよ、全11曲の中で。別に一番最後に作ったからそうなるとは限らないんだけど、なんか置き場所がそこしかなくて。でもこういう曲で終わりたかったから、ちょうど良かった。ちょっと乱暴なロックンロールというか、こういうのをシリアスになりすぎずに、笑いながらやれたらいいかなと。

liveikoze : 前曲の「UNDER THE FOGGY MOON」との対比が面白いですよね。

藤井一彦 : 結果的にね。こういう曲でシメたかった。


liveikoze : 8月からツアーが始まるわけですが、そのことについてお願いします。

藤井一彦 : いわゆるオリジナル・アルバムは6年ぶりなので、それを引っさげてのレコ発ツアー的なものも相当久しぶりです。メンバー自身も「この感覚、忘れてたよな!」って、凄く楽しみにしています。空いた分、ずっとライブをやっていたバンドが初めて音源出す状況に似てるから、20数年やってるのに、まるでファーストアルバムを出してツアーをやるような気持ちになれてます。それでいて、長年同じメンバーでやってきたバンドにしか出せない音も聴いてもらえます。いいツアーになると思うんで、THE GROOVERSの名前は知ってたけど行ったことないなって人達も勇気を出して(笑)来てほしいなと思います。

liveikoze : 最後に、来年リスタートから25周年を迎えるわけですが、何かアニバーサリー的なことはやられるんですか?

藤井一彦 : いやー、ウチらちょっと複雑なんで(笑)、どのタイミングでとか難しくてねー。でも何かやるのもいいですね。自分らで仕掛けるタイプじゃないけど、お客さんと一緒にその騒ぎを楽しめるんだったら、やってもいいかなって気もしてきてます(笑)。

interview & text:R HIRAKAWA