THE PRIVATES 延原達治インタビュー。30周年記念アルバム「Les beat hi-fi mono」全曲解説。
結成30周年を迎え記念アルバム「Les beat hi-fi mono」をリリースした THE PRIVATES のヴォーカリスト延原達治のインタビュー。アルバムの全曲解説はもちろん、バンド30周年について自身の思いなどを熱く語ってもらった。カバーアルバムの解説における彼のロックンロールに対する愛情を感じて欲しい。
十一曲目「誰もいない街」

延原 : 友達で福島のヤツとかが結構いて、それで地元を離れたりして…そういう感じの歌かな。

liveikoze : やっぱり3.11がキーワードになってるんですか?

延原 : そうだね。ツアーで行ってライブが終わった後にみんなで会って話しをしたりするのね、震災の時の恐怖の話しとか。で、発電所の事故のことでみんなの考え方が違って、家族とか友達とかのコミュニティーがバラバラになってしまったとか。やっぱりそうなっていくのがやるせないんだって話を聞いたりとかして…結局そういう悲しみの当事者だけが、悲しみを抱えていく以外ないっていうことがあるんだなって。そんな感じ。

liveikoze : その感じが凄く曲から感じられます。哀愁というか悲しみというか、結構考えさせられるというか。ただ、音的にはちょっと80’sっぽい香りがしたんですが。

延原 : ほんと?

liveikoze : 気のせいですかね。

延原 : どうだろうね、受け止め方じゃないかな。バンドでもみんなはドアーズみたいな感じで受け止めちゃって。そういう感じの結構重めの演奏になって、重めの中で熱く演奏してるみたいな感じになってたから…あまりドアーズみたいなヘビーな空気に包まれた感じにはしたくないだよね。

liveikoze : 内容がヘビーなだけにですか?

延原 : どっちかっていうと「ゾンビーズ」みたいなイギリスのあの感じなんだ。俺にしてみたらね。

十二曲目「君が君に」

liveikoze : これは山口富士夫さんとの曲ですよね。

延原 : これはフジオさんと90年かな?その時、富士夫さんはティアドロップスでやっていて。レコード会社が同じ東芝でディレクターも一緒でね。ティアドロップスを作る前から俺は富士夫さんの大ファンだったんで、紹介してもらって交流が生まれて。ビートルズはEMIで東芝だから、ビートルズの曲を東芝の邦楽のミュージシャンがユニットとかグループになってやるっていうイベントが大阪城の野音と東京の野音であったの。そのときに富士夫さんと「ひまわり」っていうバンドを二人で作って出ることになって。その時にニ曲作ろうぜってことになって2人で曲を作って、そのうちの一曲がこれなんだけど、その時に一緒に演奏した後もお互いのライブに出て二人でやったりとか、富士夫さんも俺も一人のアコースティックのときにやったりとかしてて。

liveikoze : 音源にはされてなかったんですね?

延原 : 音源にはしてなくて、富士夫さんがティアドロップスの時に一人でステージでやった音源があって、それはFJOって富士夫さんのプライベートレーベルからリリースしたモノの中に入ってる。

liveikoze : ライブ音源がですか?

延原 : ライブ音源がね。去年のああいう不幸な事故もあったし、今回俺達の富士夫さんへのトリビュートっていうか…やっぱり一曲ね…

十三曲目「最後まであきらめるな」

延原 : これは、まあ、さっき言ったとおり、歌の通りですけど…

liveikoze : 3.11ですね。

延原 : 発電所の事故とか、ああいうこと。俺自身はなにも運動しているわけでもないわけで、今日もこういう話しになって、それ以降のことが気になってるとは言うけど、本当なにしてるわけでもなくてさ。デモに参加してるわけでもないし、自分の言葉以上のところで言葉を準備してライブでアジテーションするわけでもないしね。でも普通に生活し日々情報が入ってくると、やっぱり決定的に事故がある前とは違うんだよ。Facebookとかで熱心な人がガンガンいろんな情報上げるじゃん。そうするとやっぱりそれに目通すしね。さっき富士夫さんの名前が出たけど、自分の身近なところで富士夫さんとかも、ああいう事故が起こる前から熱心な運動をしていて、その運動の話しは聞かされてはいたんだけど、「こういうとこにやっぱり注意しとかなきゃいけない」とかって。そういう運動してる人達が遠い存在でもなかったから。ましてや今はもっと周りでも熱心にデモをやったりする仲間もいるしね。原子力発電のことだけじゃなくいろんなことで。集団的自衛権のこととか、国の政治がらみのこととかで。

liveikoze : 今、色々な問題が一気に出てきてますからね。

延原 : そんな世の中で、自分の意志で何かをするっていう仲間も結構いるから。だからなんだろね…自分も、こう真ん中に線引いて黒と白に分かれたときに、俺ももちろんこっち側だよ立ち位置はってなるんだけど…でもそこまでねー、意思を表明して動いているわけでもないんだけど。

liveikoze : それが出来る人は凄く強い人なんだと思います。

延原 : やってるヤツは俺たちの代表でやってるんだから、本当に「いつも後には俺がいると思ってくれよ」とかって思いもあるし、「気持ちは一緒にいるぜ」っていう。ズルイかも知んないけどゴメンねって感じ。

liveikoze : ほとんどの人がそうなんじゃないですか。心では思ってるけど、やっぱりそこで自分の意思を表明するっていうのはちょっとだけ勇気がいりますから。


liveikoze : 今回のアルバムタイトル「Les beat hi-fi mono」についてなんですが。

延原 : 「Les beat」っていうのはね、今年の最初のツアーのタイトルで、最初は「Les beat」っていうアルバムタイトルだったんだけど。俺達十年ぐらい“モノ”で作ったりとかしていて、ヴィンテージの機材を使うっていうことがだいぶかわってきていてね。最初は古い機材をオーバーロードさせると、そのちょっといい感じの荒い音が出んだぜっていうところからスタートしたんだけど、だんだんその要素が減って。ヴィンテージの機材でもハイファイに音を撮れるっていう側面も出てくるってところもあって。とくに今回は凄く音も良く撮れたなと思って。で、レコードジャケット作ってる時に mono だけど stero って書いてあるけど、mono がないから hi-fi つけてよって。「hi-fi mono」って新しい言葉だねって。だから、アルバムタイトルにもつけようよって。

liveikoze : だから「hi-fi mono」なんですね。雰囲気的に狙ったのかなって。

延原 : うん。それもあって。でも言葉自体おかしいの。「Les beat」ってのは。レスってのいうはフランス語なんだけど。「The beat」じゃちょっと響きもよくなから...「The beat」じゃね。(笑)

liveikoze : バンド名みたいですよね。(笑)

延原 : そうだね。だから例えばローリングストーンズがフランスでやったテレビ番組とかでは「Les Rolling Stones」で出てるわけ、「Les 」なんだよね。「The」がね。で、「Les beat」にしたんだけど、フランス語の冠詞って単語と複数形で分かれるから、「Les 」ってのは複数形なの。だから「Les beats」じゃなきゃいけないんだけど、「Le」なのほんとは。「Le beat」なんだけど、「Le beat」とだと様になんねえだろみたいな。(笑)

liveikoze : 語感を重視すると。

延原 : そう、造語でいいんですってね。しかもディスクが二枚になってビートのディスクが二枚だから「Les beat」でいいだろうっていう。ま、基本的に響きだよね「Les beat」は。「Les」を後ろにつけると「 Beatles」になるしさ。(笑)