Amplifier Vol.07 1月31日 池袋 CHOP
レポート 2016-03-04

2016年最初の「Amplifier」が1月31日池袋 CHOP にて開催された。7回目となる今回は、元 UP-BEAT の広石武彦が率いる T4R、BUCK-TICK のマニピュレーターを務め6番目のメンバーとも呼ばれている横山和俊率いる Dummy's Corporation、さらには近頃巷を騒がせている新進気鋭の NEW WAVE ユニット VANIRU が出演した。


liveikoze.com



オープンからアクトDJを務める元 M-AGE の DJ PEAH がアッパーなダンスミュージックで満員の会場を盛り上げていた。定刻18時にハードテクノ風の SE に切り替わるとステージの幕がゆっくりと上がっていき、イベントトップバッターの VANIRU がステージに現れる。そこには黒いスタイリッシュな衣装でキメた妖艶な二人が。そして艶かしい LEONEIL (Vo.) の叫び声と共にステージはスタートした。

一曲目はダークエレクトロな「L'Abime -dizzy disco-」。非現実的な空気を纏い"メランコリックな夜は君に跪き、祈り捧げよう~"とメロディアスなフレーズにのせ、刹那を歌うLEONEIL にファンはもちろんのことだが、初見のオーディエンスさえもが魅せられてしまっている。彼はその圧倒的な存在感で一瞬にして会場を支配してしまったのだ。

「LOVE AGAIN 」では、ただ見惚れるだけだったオーディエンスもノリの良いダンスビートに大きく体を揺らし始め、続く「JUST YOUR DREAM」へとそのうねりを繋いでいく。「コズミック・ナイト」で LEONEIL は、ステージから体を乗り出しオーディエンスに向かい「LOVE」「GALAXY」「BEAUTY」「CONNECTION」!と言葉を投げかけると、 YUTO(Gt.)も触発されたようにギターソロでステージ中央に立ちアグレッシブにプレイを魅せつける。

そして会場も熱気を帯びステージはこれから!というところで突然、「ラストソング 、 DANCE OR DIE」 と LEONEIL はオーディエンスに対し一言クールに告げると、80’s風ハイエナジーユーロサウンドの「DEAD OR DANCE 」を演奏し、余韻を残す間も与えずあっさりとステージを後にしたのだった。一瞬の閃光を思わせる短いステージであったが、彼らのその不敵にも思える"ある意味パンク"なステージは、訪れた初見のオーデェンスにも強い印象を刻み込んだことだろう。




liveikoze.com
liveikoze.com



VANIRU
01. L'Abime -dizzy disco-
02. LOVE AGAIN
03. JUST YOUR DREAM
04. コズミック・ナイト
05. DEAD OR DANCE




VANIRU のダークでデカダンな世界から一転、「世界をポップで幸せに~」と合唱するいつものキャッチーなオープニングSE(社歌)で Dummy's Corporation のライブはスタートした。コーポレーションというバンド名だけあってメンバー全員がオフィス風スーツで揃えている。一曲目は Otsuki(Gt.) が歌う「Repeat」。90年代の渋谷系を思わせる良質なポップなサウンドは、先ほどまでの張り詰めていた会場の空気を緩やかにほぐしていく。続いて Ryo(Ba.) が歌う「RCD」、Death-O(Dr.) が歌う「Hoo-fuU」とテクノポップなナンバーを立て続けに披露していく。

MCで Yokoyama(Key&Pro)が「初めましての人も沢山いると思いますのでサラッと社員紹介をさせていただきます。」と"巧みな"メンバーを紹介していき「Dummy's Corporation は作詞作曲をしている人間がヴォーカルをとり曲のイニシアチブをとりますので、幅広いDummy's Corporation を堪能してください」とライブを"プレゼン"と称するバンドのコンセプトを説明。そして Death-O の「Communication breakdowN」の後、キーボードを前にしていた Yokoyama がステージ中央に立ち「n.e.u.」と、ファンキーなダンスチューン「dance ! attendance II」で所狭しと激しく踊りながら歌い会場を盛り上げ、Otsuki の疾走感溢れるパンクナンバー「It's my soul」へとノリを繋げていった。

業務報告の後(彼らはスケジュールをそう呼んでいる)、今度はなんと Death-O がドラムから離れ中央のマイクに向かいパーティータイムがスタート。4つ打ちのビートに合わせ Yokoyama、Otsuki も一緒に振付をシンクロさせるコミカルなパフォーマンスに会場は大盛り上がり。オーディエンスもそれに合わせて笑顔で踊っている。

最後のブロックを前に Yokoyama は「個人的なことなんですが、今日のイベントは20年来の懐かしい感じと、まだこうやって音楽をやっているという感じが嬉しくて… DJ をやってくれた DJ PEAH!20なん年ぶりに会いました!M-AGE というバンドでマニュピュレートしたのが初めてで、当然ミヨケン(VANIRU サポート)もありがとう。」(※DJ PEAHとミヨケンはM-AGEのメンバー)と話すと「ということで良いこと聞いてみようと思います。題して私とM-AGE」とメンバーに話を振り、 M-AGE に関する思い出を一人一人に語らせていく。

メンバーそれぞれが自分の M-AGE に対しての熱い想いを語り終えると、「BNW」「shaka punk」「mountain」といったアッパーな曲を立て続けに演奏し会場を再び盛り上げ、60分間にわたる"営業活動"を無事終えたのだった。多様な音楽性がゴッタ煮のように詰め込まれ、変幻自在に飛び出してくる彼らのサウンドとパフォーマンスは、顧客に対する満足度を十分満たすことが出来る上質なプレゼンであった。




Dummy's Corporation
Dummy's Corporation
Dummy's Corporation
Dummy's Corporation
Dummy's Corporation
Dummy's Corporation
Dummy's Corporation



Dummy's Corporation
01. Repeat
02. RCD
03. Hoo-fuU
04. Communication breakdowN
05. n.e.u.
06. dance ! attendance II
07. It's my soul
08. Life only oncE 2015
09. HunteR
10. BNW
11. shaka punk
12. mountain



イベントの最後は元 UP-BEAT の広石武彦のソロから始まったという T4R がステージに。「こんばんは!T4Rです!」と、広石の挨拶から「RAMBRING LIFE」でライブはスタート。伊東正(Gt.)、斉藤律(Gt.)、篠田達也(Ba.)、堀江毅(Dr.)といったツワモノミュージシャン達が 奏でるエッジが効いたグルーヴィーなサウンドは圧倒的な説得力を持っており、一瞬にして会場を自分たちの世界に引きずり込んでしまう"チカラ"を持っていた。また、UP-BEAT時代から何も変わらない広石のあの独特なヴォーカルスタイルも健在で、3曲目の「.BLACK HOLE」の頃には、もう会場は彼らの独壇場だった。

堀江の MC の後に披露された「TIME WAITS FOR NO ONE」「DV CHILDREN」は、曲名からも感じ取れるようにそれはどこか"UP-BEAT "を彷彿させる曲であり、当時を観ている筆者としては、感覚がフラッシュバックしてしまうような、なんともいえない懐かしい感覚にとらわれてしまい思わずニヤニヤしてしまったのであった。そしてメンバー間で物議を醸したという秀逸な「透明」をシリアスに演奏した後のMC で、広石はライブ前に銭湯に行ってきたことなどを、笑いを交えながら話し、そのギャップで会場を和ませたりもした。ステージで歌う凜としたイメージとは違い、時折見せるそんなユルイ人柄も広石の魅力の一つだと思う。

ライブ後半は、オルタネティブな「WIRELESS」で始まり、次の「PRIDEEGO」のギターソロで斉藤が広石に絡むように近寄ると「なんで俺に寄ってくるんだよ!」と笑いながら突っ込む場面も。そしてバンドはさらに勢いを上げていくように「JUICY FRUITS」「RUNNING WILD」とアッパーなロックナンバーをたて続けに投げかけていき、本編最後は空間に心地よく漂う斉藤のギターの音が印象的な「WAITING FOR THE TIME」でステージを締めくくった。鳴り止まないアンコールに応えステージに表れた広石は、ライブイコーゼと、このイベントに関しての経緯を話し、改めて共演者に感謝を告げると「またどこかでやりましょう!懐かしい友達を思い出してください」とノスタルジックで感傷的な「INNOCENT」を演奏しステージの幕を下ろした。

そして終演後思ったのだが、T4R はもちろん UP-BEAT ではない。しかし地続きであることは否めない。なぜならこの二つとも広石武彦自身を投影する鏡として存在しているからである。当然鏡は一つしかない。昨年末、広石の脱退により up-beat tribute bannd は活動を停止してしまい、現時点では UP-BEAT の曲を聴くことは出来なくなってしまった。それは凄く勿体ないことでもあり当然悲観もする。しかしそんな過去の呪縛にとらわれノスタルジックを求めることよりも、アーティストとして常に前に進んでいこうとする広石の"現在"を映し出す鏡を観る方がよっぽどリアルで素晴らしいことではないだろうか。もちろん UP-BEAT を否定する気は全くない。今でも本当に素晴らしいバンドだと思っているが、アーティストは過去を振り返ったりその場所に留まることを拒む。UP-BEAT が好きだった人達には是非一度 T4R のライブに足を運んで広石の現在の姿を観てもらいたい。本質的には何も変わらないリアルな彼の姿がそこにはあるから。そして UP-BEAT のその先に辿り着いたのがこの T4R だったことに頷くと共に、再び魅了されることだろう。

後に、広石にこのことについて尋ねると、「しょうがないじゃん!だって歌詞を書くのも T4R の曲にメロディー付けるのも俺だからね」と笑って話してくれたのだった。




T4R
T4R
T4R
T4R
T4R
T4R
T4R
T4R



T4R
01. RAMBRING LIFE
02. GRADATION
03. BLACK HOLE
04. TIME WAITS FOR NO ONE
05. DV CHILDREN
06. 透明
07. WIRELESS
08. PRIDEEGO
09. JUICY FRUITS
10. RUNNING WILD
11. WAITING FOR THE TIME
EN
12. INNOCENT


TEXT : RH / PHOT : sentaro