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ZIGGY 『ZIGGY TOUR 2017』 2017年4月29日 EX THEATER ROPPONGI

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今年デビュー30周年を迎えたZIGGYが、4月29日にEX THEATER ROPPONGIにて、4月2日よりスタートしたZIGGYとしては3年振りとなる全国ツアー「ZIGGY TOUR2017」のファイナル公演を行い、詰め掛けた満員のオーディエンスを魅了した。

ある人にとっては大切な存在であったり、ある人にとってはそうでなかったり、音楽なんて個々が好きに楽しめば良いと思うが、自分の人生が大きく変わってしまう程の影響力を持つアーティストに運良く出会ったコトがある人もいることだろう。私にとってZIGGYというバンドは私の人生に大きく影響を及ぼしたバンドの一つなのだ。

今回そのZIGGYのデビュー30周年アニバーサリーツアーのファイナル公演に足を運んだ。最初に断っておくと私はプロの音楽ライターではない。ZIGGYに憧れて、彼らの足元にも及ばないような活動に終始した名もないバンドマンの端くれの一人である。もっと正直に言うと、ZIGGYのステージを観るのは1989年の大晦日に幕張メッセで開催されたイベント「ロックンロールバンドスタンド」以来である。つまり27年ぶりというコトだ。しかし、その間もバンドの動きは常に気にかけていたし、アルバムも映像もマメにチェックしていた。そんな私がステージを観ながらレイドバックしてきた様々な思い出やらZIGGYにまつわるエピソードなんかを書いてみようと思う。

2017年4月29日(土)六本木EXシアター。定刻の18:00を10分程過ぎてフロアが暗転し荘厳なSEが流れ始める。「TOKYO〜!」と、森重の第一声「We are ZIGGY!」でベースのイントロが。久しぶりにリリースされたシングルCelebration Dayのタイトルチューン「Celebration Day」でライブがスタートする。レインボーカラーにリレーするバスドラムのリグにシンクロする5弦ベースの低音、思っていた以上にヘヴィチューンだ。2曲目も新作から「赤の残像」。ツインバスが疾走した後にドラムのCHARGEEEEEE…がフロアを煽る。オレンジヘッドにマーシャルキャビの組合せのギターサウンドは歪み過ぎず心地よい。ギターのカトウタロウはシンプルなプレイに徹しているが、3曲目の「Let The Music Play」(Blond 007 収録・1994年)ではソロパートでディレイを絡めたタッピンスをキメるなどハードなパフォーマンスも披露する。

開演前のフロアにはPretty Boy Floyd (以下PBF)の1stアルバムが流れていた。アメリカ西海岸はLAを拠点に活動していたバッドボーイズロックバンドだが、森重も大好きに違いない。むろん私も大好きなバンドだ。PBFの初来日の際、当時日本のロックシーンを積極的に取り上げていた某誌上でPBFとZIGGYの対談が組まれており、その記事を楽しく読んだことがつい数年前のコトのように思い出される。そんなPBFをイメージさせる「Go To Blaze」(Just A Rockin’ Nite 収録・2005年) から「Again」(Heaven and Hell収録 ・2002年ROCK)へ。CHARGEEEEEE…のヘヴィなドラミングにフロアが大きなノリで応える。

私がZIGGYの存在を知ったのは高校生の時(1986年頃)で、当時お世話になっていたバイト先の先輩バンドマン達がZIGGYと対バンをしていたのがきっかけだった。セットリストはそんな初期のチューン中心のブロックへ。6曲目「それゆけR&Rバンド」(それゆけR&Rバンド収録・1987年)、7曲目「Make It Loud」(In With The Times収録・1987年)、9曲目「Lazy Beat」(In With The Times 収録・1987年)などは私の青春ど真中時代のチューン。同世代の人なら感じるコトはほぼ同じだろう、フロアは懐かしい曲を一緒になって唱ったり、拳を突き上げたり、それぞれの思い出と共に楽しんでいるように見えた。そんなオーディエンスに触発されるかのようにキーボードの佐藤達哉がシンセサイザーの上に飛び乗る。「それゆけR&Rバンド」は公式記録上ZIGGYにとって最初に世に放たれた曲ということになるのだろうが、1987年当時森重さんはどんな30年後を描いていたのだろうか?途中リリックの一部を「くたびれちまった東京の片隅で〜」と変えていたのを私は聴き逃さなかった。

懐かしい曲に挟まれた「マケイヌ」(Goliath Birdeaten収録・1999年)ではフロアが一斉にフィストバンキング。「無礼講でいこうぜ〜!」と、さらに森重が煽り「Step by Step」(What News収録・1996年) へ。個人的にはZIGGYの曲の中でもベスト10に入る程好きなチューンだ。アレンジされた4声から成るコーラスワークも素晴らしいが、これも原曲の良さがあってこそだろう。

「Rock The Night Away」(Yellow Pop収録・1992年) でドラマティックな 80’sアメリカンぽい曲を披露し、「もう一発ロケンロ〜やるよっ!」と、12曲目の「I’m a Loser」(Sound Trax 収録・1991リリース)ではカトウタロウがダッグウォークでステージを動き回る。この曲はZIGGYをモチーフにしたアニメ映画のサントラに納められていたが、バンド自体は最初の活動休止期間に突入した頃でもあった。続くHANOI ROCK調のブギ「Highway Driving Night」(Hot Lips 収録・1988リリース) で、キーボードの佐藤がFACESのイアン・マクレガンばりのホンキートンクなメロを奏でる中、森重は「カモン!カモン!」とフロアを煽る。この曲のエンディングの後「紹介するぜ〜。ミスターCHARGEEEEEE…!」の声と共にドラムソロへ。

様々なバンドでプレイするCHARGEEEEEE…とはこの2年間、同じイベントに出演していた縁で彼がZIGGYに参加するのも知っていたし、彼のプレイスタイルがZIGGYサウンドに間違いなくマッチングするのも、ステージを観る前から想像できたコトだが、これ程までにどハマリするとは思ってもいなかった。フロアのハンドクラップに合わせ組み立てるソロなどは本当によく考えられた演出だと心から感心してしまった。

再び登場した森重の衣装がHANOI ROCKS のマイケル・モンローを感じさせる赤のエドワードジャケットから両袖がカットオフになったレザーのライダージャケットへ。MOTLEY CRUEのヴィンス・ニール感満載だが、私がZIGGYを好きな理由のひとつがこんな遊び心なのだ。ステージではこれまた懐かしい「Feelin’ Satisfied」(それゆけR&Rバンド収録・1987リリース) がプレイされていたが、私はその昔ZIGGYの自叙伝的な本「派手目な普段着」を何度も読み返したコトを思い出していた。当時の4人のメンバーが思い思いにZIGGYに至るまでの足跡や将来について語ったコトをまとめた本である。

ステージは15曲目の「Tokyo City Nights」(Hot Lips 収録・1988リリース) へ。こちらも初期の曲だが大きくアレンジが変化している。中期以降のZIGGYらしいチューン「Silent Eveを待ちながら」(Crawl収録・1997リリース) は刹那的なコーラスワークが美しく、ギターのアウトロの後に「Jealousy」(Heaven and Hell収録・2002リリース) へと繋げていく。16ビートのベースラインが効果的に曲を引き締めているが、終盤にはプログレっぽいアレンジに発展するなど改めて個々のメンバーの力量の大きさを感じさせられる。そして簡単なメンバー紹介の後、このメンバーでのアルバム製作と全国ツアーの決定が発表されフロアのボルテージもマックス状態に。

嬉しいサプライズ発表で興奮醒めやらぬフロアに「カモン、CHARGEEEEEE…!」の声から始まったのは「Guilty Vanity」(Crawl収録・1997年リリース) 。メンバー同士がアイコンタクトでバッキングのキメを刻む姿が印象的だった。また、セットも中盤過ぎなのに「幾千万の〜」というサビのフレーズの高音がキッチリ出ていた森重ヴォーカルにも脱帽。「Heaven and Hell」(Heaven and Hell Ⅱ収録・2003年リリース)「Forever Wild」(Goliath Birdeater収録・1999年リリース) と続いたセットは「La vie en Rose」(Sound Trax収録・1991年リリース) へ。「行け〜。Tokyo〜!」の森重の叫びはフロアを更に盛り上げるのには充分で、これぞZIGGYというべきロックンロールが炸裂する。

たて続けに繰り出された軽快なロックンロールの後、少し長いピアノのイントロでクールダウンかと思いきや、個人的には初期のアルバムで一番よく聴いた一枚の中から「Don’t Stop Believing」(Kool Kizz収録・1990年)、「928」(Kool Kizz収録・1990年)が。更に「I can’t Stop Dancin’」(それゆけR&Rバンド収録・1987年)「Burnin’ Love」(それゆけR&Rバンド収録・1987年) と初期からのファンには堪らないチューンが次々と披露される。「Burnin’ Love」のイントロの大合唱、皆は何を思いながら口ずさんだのだろうか?私はまだまだ駆け出しだった頃の自分を思い出していた。バンドブームが日本中を覆っていたあの時代、冗談抜きで何百人といたバンド仲間は一体どうしているのだろうか?

そしてCHARGEEEEEE…の煽りから王道のZIGGY節「蒼ざめた夜」(Yellow Pop収録・1992年) へと続いたセットは本編のラストチューン「Gloria」(Hot Lips収録・1988年)へ。 この曲で青春を過ごした日本人がどれだけいただろうか?流行り歌というモノに異を唱える人もいるし、その意見に異を挟む気もないが、自分の作品が日本中に知れ渡って行く結果を望まないアーティストはいないだろう。30年近く前の大ヒットソングを聴きながら私はすっかりティーンエイジャーの頃の気持ちに戻っていたのだった。

実に27曲の本編が終わりアンコールに突入するが、バンドの勢いはまるで衰えない。フロアの声に呼び戻され最初にプレイしたのは「月が昇る頃には」(What News収録・1996年)。この曲もZIGGYらしさ満載のブルーズロックだ。アンコール2曲目にチョイスされたのは「7days Hangover」(My Love収録・2003リリース)。タイトなリズム、メロウな展開からコーラスワークが美しいサビへ。そしてこれまた懐かしい「One Night Stand」(Nice & Easy収録・1989年) のイントロが。トラベリンバンドソングだが、このアルバムのカヴァーが当時私も愛聴していたTHE DOGS D’AMOUR というロックンロールバンドのアルバム風で、そこを選ぶセンスに共感を覚えた記憶がある。アンコール一部のラストチューンは思いきりアメリカンなハードロック「Whisky Rock & Roll and Women」(Kool Kizz収録・1990年)。サビを男女に別け順番にコール&レスポンスさせフロアーを盛り上げる。この日の会場は意外にも男性客の方が多い様子でフロアから上げる声も野太い方が多かった気がする。

二度目のアンコールは新曲「静寂の音がただ青過ぎて」(Celebration Day収録・2017年) からスタート。サイケデリックなギターのイントロから今までのZIGGYにはあまりなかったブリティッシュロック風の展開が新鮮だ。続く「Don’t You Leave Me Alone」(Kool Kizz収録・1990年) は打って変わってローズピアノのイントロが美しいアメリカンロック。ミニー・リパートンの名曲「Loving You」の様な大陸的な展開と70’sのウェストコート風のギターソロが楽しい。Stay Gold(Blond 007収録・1994年) では森重自ら赤いセミアコをかき鳴らす。この曲は個人的に大好きなMOTLEY CRUEの「Don’t Go Away Mad」を思わせる曲構成で、久しぶりに耳にしたのだが、色々な発見があって面白い。

ここまでスローテンポな曲はいくつか演奏されたが、ZIGGYのおハコともいえるバラードが一曲もプレイされていないと思っていた矢先の3度目のアンコールでようやくザ・バラードと呼べるチューンが。35曲目にチョイスされたのは私が勝手にZIGGY最初のバラードだと思い込んでいる(Burnin’ Loveは私の中ではバラードではない)「6月はRainy Blues」(In With The Times収録・1987年)。

バラードのみで一度捌けたバンドは最後のアンコールセッションへ。森重はGUNS ‘N’ ROSESのアクセル・ローズばりにポリスキャップを被ってステージへ飛び出してきた。「Born To Be Free」(Hot Lips収録・1988年) で、マイクスタンドを斜めに構え30年近く前の曲を歌うその勇姿は森重が憧れてきたレジェンド達をとっくに追い越してしまっているコトを証明していたように感じる。そして「I’m Gettin’ Blue」(In With The Times収録・1987年)、ラストの「Eastside Westside」(In With The Times収録・1987年) の2曲はもはや私には言葉も感想も必要なかった。27年ぶりという空白がそうさせているのか、MOTLEY CRUEのファイナルツアーに足を運んだ時にも感じた説明の出来ない不思議な感覚だった。 全38曲、3時間40分にも及ぶ圧巻のライブ。ZIGGYはこれからも私の人生に多大なる影響を及ぼしてくるのは明らかだろう。

TEXT : 渡辺康一(DFG)

ZIGGY
『ZIGGY TOUR 2017』
2017年4月29日 @EX THEATER ROPPONGI

01. CELEBRATION DAY
02. 赤の残像
03. LET THE MUSIC PLAY
04. GO TO BLAZES
05. AGAIN
06. それゆけ! R&R BAND
07. MAKE IT LOUD
08. マケイヌ
09. LAZY BEAT
10. STEP BY STEP
11. ROCK THE NIGHT AWAY
12. I’M A LOSER
13. HIGHWAY DRIVING NIGHT

~Drum solo~

14. FEELIN’ SATISFIED
15. TOKYO CITY NIGHT
16. Silent Eveを待ちながら
17. Jealousy ~ジェラシー~
18. Guilty Vanity
19. HEAVEN AND HELL
20. Forever Wild
21. La Vie en Rose
22. DON’T STOP BELIEVING
23. 928
24. I CAN’T STOP DANCIN’
25. BURNIN’ LOVE
26. 蒼ざめた夜 ~Too Fast to Live, Too Young to Die
27. GLORIA

-ENCORE 1-
28. 月が昇る頃には
29. 7 DAYS’ HANGOVER
30. ONE NIGHT STAND
31. WHISKY, R&R AND WOMEN

-ENCORE 2-
32. 静寂の音がただ青過ぎて
33. DON’T YOU LEAVE ME ALONE
34. STAY GOLD

-ENCORE 3-
35. 6月はRAINY BLUES

-ENCORE 4-
36. BORN TO BE FREE
37. I’M GETTIN’ BLUE
38. EASTSIDE WESTSIDE

Information : 森重樹一 official web site