AUTO-MODインタビュー。9年ぶりのアルバム「祈り」についてGenetとYukinoが語る。
Share
三曲目「REAL WORLD (double faced society)」
liveikoze : 続く三曲目で二重構造というテーマが具体的に前面に出てきますね。
Genet : 俺達は奴隷なんだよ、みたいな。地球の富というのは1%の富裕層が82%の富を握っていて、他の奴らはその人達に搾取されていて、新自由主義やグローバリズムといったものは、実は本当はそういった世界で成り立っているという。日本って日本の利益を守る気があるのかなって不思議に思う。何で今さら世界的に失敗した水道の民営化を推し進めようとするのか、とか。
liveikoze : 今回のアルバムの中で、そういった政治意識がもっと直接的な言葉として出るのかと思っていたんですが。
Genet : まあ、AUTO-MODはバリバリのドパンクバンドではないからね。AUTO-MODなりの表現方法というのがあるから。
liveikoze : この曲、フレーズでクリムゾン的なものがありますが(笑)
Genet : クリムゾン的な部分は、イントロダクションとしてライブでインストでやっていた曲があって、クリムゾンに捧げるということでやっていたんだけど、今回それを曲にするにあたって、クリムゾンのレールの上にツェッペリンの血を流したという感じかな。
Yukino : ギターは完全にツェッペリンだね。
Genet : 1968年頃、俺はクリムゾンとツェッペリン両方を聴いていたから、自分のルーツを披露しちゃいました、みたいな。
四曲目「Ave Maria」
liveikoze : アルバムの最後を飾るこの曲ですが、Seliaの美しい声で始まるにも関わらず、バックがノイズでまたこのギャップが面白いなと思ったのですが。
Genet : 最初から映画みたいな作りでラストはこういった不条理な形にしようという明確なイメージがあって。Yukinoにはイメージが伝わっていたと思うけど、リズム隊の二人は結構戸惑ったんじゃないかな(笑)この曲は二重構造の世界の結末なんだけど、宗教の話に置き換えられているけれども、俺はテロルはビジネスのために起こされているものだと思っていて、利権の話であって、ひどい目に合っているのは子供達であり、自分達が何のために死んでいっているのかも分かっていない。いくら祈っても、その子達が祈っている先に本当に救いはあるのかな、という。だから、ノイズのイメージは戦場で、街中で始まった馬鹿騒ぎは中東に飛んで行って、中東の砂漠での祈りで終わる。
liveikoze : 全体を通じてGenetという人間のバイタリティというか、愛とか前向きな生きる力を感じます。
Yukino : 希望を感じるよね。
Genet : だってそれを捨てたら、ただの奴隷になっちゃうわけだから。だからこそ、生きる喜び、愛する喜びだけはお前達には屈しないぞという。本当、イースタニアンっていうか、ファーイーストで生まれた我々がどうやって生きていくか、どうやって救いを求めていくか、それがこれからのAUTO-MODのテーマだね。
liveikoze : では、インタビュー冒頭でおっしゃっていたAUTO-MOD解散というのはないと考えてよいのでしょうか。
Genet : どんだけ続けられるか分からないけどね。
Yukino : Genetが今考えていることは、SNSで発信するだけではなくて、作品として出すことで何か気がつく人もいるかもしれないし、全く気がつかないままで楽しんでくれる人もいるかもしれない。ただ、そういう表現ができるっていうことは大事だなと。
Genet : だから結局、元々AUTO-MODがやっていたことに、ベクトルがはっきり見えてきただけの話で、表現する方法とか形態は変わらないってことだよね。
liveikoze : そのAUTO-MODの活動の場の一つであるTOKYO DARK CASTLEは2019年で終了する、と以前アナウンスされましたが、こちらはどうなるのでしょうか。
Genet : どうなるんだろうな。これまでこれだけTOKYO DARK CASTLEに力を入れてきたんだから、ちょっとAUTO-MODをやらせてよ(笑)
Yukino : この9年間、AUTO-MODのGenetというよりも、TOKYO DARK CASTLEのオーガナイザーとしてのGenetというのがあったんだよね。
liveikoze : AUTO-MODの解散を考えているというお話を私も2年前に聞いた時、結構ショックを受けていたんですが、こうして再び活動意欲が盛り上がってきたことは一ファンとしてはとても嬉しいです。
Genet : 陰謀論に感謝しないと(笑)
liveikoze : 感謝します(笑)本日はありがとうございました!
interview & text & photo:kihito