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THE GROOVERS 藤井一彦が語る、ニューアルバム「Groovism」の全貌。

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3曲目「PERFECT DAY」

藤井一彦 : 90年代っぽく言うと、この曲が一番シングル曲っぽいね。作っている途中から、いわゆるリード・トラックになりそうな予感がずっとしてて、その通りになりました。トレーラー的な動画を友達に作ってもらったけど、この曲を使ったし。過去のアルバムにもそういう曲が1、2曲必ずあって、タイプとしてはそれに属するかなと。例えば ファーストでいうと「現在地」のような。他人に言われるGROOVERSらしさというものが、ちょっとくすぐったかったり、抵抗したかったりみたいな気持ちがずっとあったんだけど、最近は素直に同意できるようになりましたね。

liveikoze : 長年やってきたキャリアが、そういう思いにさせたということですか?

藤井一彦 : そうだね、もう何周もしてるしね、思考が。

liveikoze : もう認めざる得ないと?

藤井一彦 : 認めざるを得ないというか、認めてもいいかなと(笑)。

liveikoze : タイトルでもありますが、藤井さんにとっての"パーフェクト・デイ"とは?

藤井一彦 : 自分にとってとかは考えていなくて、小説にあるんだよ「バナナフィッシュにうってつけの日」(※ J・D・サリンジャーの短編小説)っていうのが。原題が「A Perfect Day for Bananafish」だったかな。ルー・リードにも同じタイトルの曲があるけど。その"うってつけの日"というフレーズを使いたくて。だから自分にとってどうこうというのを考えて書いたりはしてないんですよ。

4曲目「シャクニサワル」

藤井一彦 : これはツェッペリン・タイプの曲を作りたくて。重いビートっていうか。

liveikoze : この曲にもメッセージ性を感じたのですが。共感できるポジティブなメッセージだなと。ヤケッパチだけど前向きみたいな。

藤井一彦 :でも前向きに行こうぜみたいなことが言いたいわけではなくて。というか、そういうことを言いたいと思ったことは一度もなくて。いわゆる J-POP的な"頑張ろう"的な、安い共感を得るためにマーケティングして書いたようなクソみたいな歌詞がすごく嫌で。そうじゃないものがやりたくてロックやってるんで。

liveikoze : 藤井さんの歌詞は、広がりのある世界観なんですけど、どこか密室というか…

藤井一彦 : まあ、いろんな風に感じていただけたら嬉しいです。

5曲目「遠吠え彼方に」

藤井一彦 : これはメロウすぎないメロウな曲を作りたいなと。そこはちょっと狙ったかな。

liveikoze : アンニュイなギター凄く良いです。歌詞もスッと入ってきますし。歌詞といえば"遠吠え彼方に 淋しげ 荒野を生き抜くつもりだ"というフレーズに"どんな状況でも俺は歌っていくよ"的な藤井さんの美学みたいなものを感じたのですが。

藤井一彦 :ちょっとドライな切なさみたいなものを表現したくて、ああいうギターの音色を選んでいるんだけど。でも歌詞は…何かそれが言いたいことではないというか、風景を描きたいだけみたいな。

liveikoze : でも結果的にそうやって選んだパーツがパズルのピースがはまる如く形になって…

藤井一彦 : たまたま誰かの心を掴んでくれたらラッキー、くらいな気持ちで書いてますけどね。

6曲目「それが唯一の」

藤井一彦 : 作った順番でいうと、このアルバムの中で一番古い曲です。ちょっと ROCK’N’ROLL GYPSIES を目指したところがあるかな(笑)。

liveikoze : 「シャクニサワル」でもそうなんですが、この曲にも"神"というワードが出てきますよね。

藤井一彦 : 常套句だから、本当はあまり使いたくないんだけど言い換える言葉がなくて…

liveikoze : 何か具体的なものをイメージしているのではなくてですか?例えば"運命"とか?

藤井一彦 : 運命? いや普通に"神"かな。

liveikoze : そのことが凄く引っかかって。

藤井一彦 : だからそういう"神"とか、もの凄く大きくて強い言葉とかは、使いすぎるとそれ一色になってしまうので気をつけてはいるんですよ。でも常套句でもあるからつい使っちゃう。その"神"云々で、たとえば宗教的なことは考えていないです。メロディーに呼ばれる、合う言葉を探しているだけみたいなところもあるし。

liveikoze : でも 現代を皮肉ってますよね。

藤井一彦 : え、ホント? 深読みするねぇ(笑)。まあそれはそれで嬉しいことだけど。

liveikoze : いっぱいいると思いますよ。アーティストの意図を汲みたいみたいな人は。

藤井一彦 : そうですか。何かが伝わるのは嬉しいけど。でも聴き手が感じるよりは、だいぶチカラ抜いて書いてますけどね。

iveikoze : 受け取り方は自由ということですね。

藤井一彦 : 全然刺さらないとか言われても、それはそれで寂しいけど(笑)。でも歌詞は、あくまで音楽の一部だから…。音楽には当然色々な側面があって、楽しみ方も、メロディーやサウンドがあればいいって人や、言葉も重要だって人もいて、一つだけじゃなくいろいろあることが良さだったりするんで、自由にその人なりの聴き方で楽しんでもらえればと思います。