ROGUE 香川誠インタビュー。復活後、四半世紀ぶりにリリースしたNEW ALBUM 「REAL AGAIN」を語る。
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liveikoze : 今回の制作期間はどれくらいですか?
香川 : まるまる一ヶ月。レコーディングに入ったのは9月20日からだから、ほぼ一ヶ月くらいで録音作業は終えました。
liveikoze : それまでに大体のアレンジとかは終えて?
香川 : またこれが面白くて、僕と西山は東京にいるでしょ、僕、東京ですよ。僕、通いですから。ほぼ半分群馬(笑)。で、東京で「西山どうする曲、じゃぁスタジオ行く?」っていって二人で街のスタジオに入って。レコーダーで録音して、「ちょっとホワイトボード貸して下さい!」なんて言って(笑)紙に構成書いたり、仮タイトルを書いたりして…
liveikoze : その辺は昔と変わらない感じですね。
香川 : “ピコココ、ピコココ” ていうの鳴らして(笑)曲を録って、それを西山に、「悪ぃ、じゃあちょっとパソコンに送っといて!」ってパソコンに送ってもらい、それを奥野に送ると。まぁ、こうやって録ったものを奥野に送るぐらいまでの作業とかを考えるとパソコンって便利みたいな(笑)昔はカセットだったからね。要は時代で変わったのはそれくらいで、やってることはまったく変わってないですね。
liveikoze : 目に浮かびますよ、もうなんか高校生みたい。
香川 : そうそう。西山はパソコンで作ったりしていたらしんだけど、僕もパソコンは使いますけど、音楽制作で使ったことは一度もないんです。Macにガレージバンドっていうものが入っていた時でさえ全然ピンと来なくて。あんまり楽しく感じないんですよ。そういう物に。
liveikoze : 世代の問題もあるんですかね?
香川 : うん。まぁみんなデモテープを作るのにはね。スケッチとしては分かるんだけど、ただ”ピコココ、ピコココ”っていうものに合わせてやるとね…(笑)今回はあまりにもそういうプリプロ作業をする時間がなかったので、贅沢にもスタジオに入った初日が総合プリプロで、こんな曲やるんだけど、竜さん覚えてねみたいな(笑)。
liveikoze : (笑)
香川 : 竜さん構成覚えてくれる?って言って、デモ聴いてるんだけど、竜さんは音楽をいわゆる譜面で捉えるタイプじゃないんですよ。何小節目でなんとかって捉えるタイプじゃなくて …何だろな…まぁこの風景でもいい、この風景ってのがわかると、「ここはこれ、ここはこれ」っていうのがすべてわかる人なんですけど、「ここに木があるんだよ、ここにはソファーですよ、竜さん」って言っても、「あれ?ソファーはこっち向きじゃなかったっけ?」ぐらいの感じの人なんですよ。「だいたいソファーはここですけど、いやいやこれはここで」っていうのを絵で、音楽をこう受け取るタイプの人なんですよ。だから竜さんに絵を見せるのはその日一日かけて…
liveikoze : 面白いですね。
香川 : で、ヘッドフォンをして、作曲者の前にあるマイクがちゃんといくようにして、「はい次Bメロいくよ!サンハイ!」みたいなことをやって(笑)で、それを一回録ってみて、プロ・ツールスで「じゃそれここ、構成ここ、こういうの貼ってみる?」ということをやってみて、一個スケッチを作って、後は竜さんよろしくね。っていう。
liveikoze : ドラムに関しては竜さんに任せたという感じですね。
香川 : 任せました。でまぁ一回本番録って、でもここはハットがずっとなっていた方がカッコイイからっていうのはその都度言って、じゃあもう一回録ろうというやり方。だから贅沢は贅沢ですよね。僕は昔からプリプロっていうやり方が嫌いで、そこで作っちゃうと、もうやり終えたみたいになってしまって、本番のレコーディングでそれ以上弾けないんですよ。そこがゴールみたいな感じで。でも今回はゴール無しだったんで大丈夫ですけど。
liveikoze : 手探りな感じだったんですね。
香川 : そう。ゴール無し。やってみて、あぁカッコイイ「これOK!」みたいな。
liveikoze : じゃあテイク1でOKというのもあったんでしょうか?
香川 : テイク1でOKも、もちろんありますし、テイク5くらいまで作って明日へ持ち越しもありましたよ。本当にここのスタジオでそこまで出来たっていうのはバブル時代並の贅沢でした。「LIKE A MOON」の後ぐらいからは本当に贅沢でしたからね、僕らは。
liveikoze : 「LIKE A MOON」の頃はてバブル前でしたっけ?
香川 : 直前ぐらいかな。その後ぐらいからバブルすぎちゃって…「日本でやるよりアメリカのほうが安いからアメリカに行こうぜ」なんていうバカみたいな時代ですから(笑)。
liveikoze : アメリカは音が違うからとかって言って(笑)。
香川 : そうそうそう(笑)電圧が違うんだよとか。なんだよそれ(笑)とかよくありました。
liveikoze : 結果そんなに変わらなかったみたいな?
香川 : うーん…でも気分は変わりますね。モチベーションが違いますから。
liveikoze : では今回のレコーディングのモチベーションはいかがでしたか?
香川 : このスタジオが本当にいい音で、ドラムの音とかも。すごいライブな感じなんですよ。だからそれがヘッドフォンに返ってくるっていうのは、凄いテンション上がりますよ。
liveikoze : スタッフさんとかも優秀な人が入っているんですね。
香川 : エンジニアは僕が東京から呼んで連れてきたんですよ。
liveikoze : このスタジオ専属の方ではないんですね。
香川 : ここの方も紹介してもらったんですけど、やっぱり身内じゃないけど、少しはメンバーのことを知ってる人がいいなと思って。ROGUE時代は知らなくてもね。僕が違う作業でいつも頼んでいるエンジニアで、その人 CHAR さんとかも録ってる人だからROCKとか要するに生楽器のバンドの音を録るのが上手なんですよ。だからもう預ける。音を預けるからって言って。
liveikoze : それで結果的には素晴らしい音が出来たと。
香川 : 出来ましたねー。今回はゲストでピアノの人を2人と、サックスプレーヤーを呼んだんです。ROGUEではたぶん、おそらく一回もなかったんですよゲストミュージシャンを呼ぶのは。今回僕もピアノをちょろっと弾いたりしてますけど、そうじゃなくて、ちゃんとしたピアノを入れようと思って。ここら辺が大人になってますよね(笑)。
liveikoze : そこはドライに割り切るという感じですか。
香川 : 割り切る、割リ切る(笑)僕はそのあとにやったバントとかでは、当たり前のようにキーボードプレーヤー呼んでますし、KNiFeの時はギタープレーヤーも呼んでますから(笑)。
liveikoze : そこまでですか?
香川 : そこまでです。僕はギターですけど、ギタープレーヤーを呼ぶと、ダビングしなくていいんですよ。凄いでしょ(笑)。
liveikoze : そこは単に楽をしたというか…
香川 : 楽をしたいんですよ、当たり前じゃないですか(笑)。僕のイメージをそのまま理解してくれて、それ以上のものを弾いてくれるヤツが仮にいるとしたら、そいつが弾いたほうがいい。
liveikoze : 自分じゃなくても良いということですか?
香川 : 全然いいですよ。だって出来上がったものがカッコ良ければ良いんですから。
liveikoze : それは完全にプロデューサー的な発想ですね。
香川 : そうなっちゃってたんですよ。
liveikoze : でもやっぱりROGUEはそうじゃないですね。
香川 : もちろんROGUEはそうじゃないですね。ROGUEは僕らが骨も肉も全部作るべきなんです。でもそれに足りない、例えば帽子を被りたいとか、靴を履き替えたいとかっていうものは、昔だったら「帽子も靴も全部作る!」なんてやってたんですけど、それが今はもう、帽子は帽子屋に行くべきだし、靴は靴屋に行くべきとなりましたから。
liveikoze : 餅は餅屋にということですね。
香川 : 伊達に音楽業界長くないので知り合いは増えてますしね。知り合いの中でもこの人だっていう人がいれば、その人にお願いして「いいよ」って言ってもらえるのであれば頼むべきだと思います。
liveikoze : 今回のアルバム『REAL AGAIN』、このタイトルに込めた想いとか何かありますか?
香川 : AGAINていうワードは、おそらくGBGB の一回目の時、奥野にロゴTシャツをデザインしてよって言った時にAGAINって書いてあったんですよ。要するにもう一度とか色々そういう意味なので。だからAGAINというワードは彼の中で割と今回まで引っ張っているキーワードなんだよね。だからAGAINが入ったほうがいいとかって…でもAGAINだけだと…なんて言っていたら西山が「REAL AGAINとか、何とかAGAINとかそういうの良くない?」とか言って。それいいじゃん「REAL AGAIN」ってなって(笑)。