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THE PRIVATES 延原達治インタビュー。30周年記念アルバム「Les beat hi-fi mono」全曲解説。

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liveikoze : それでは、アルバム「Les beat hi-fi mono」の解説をお願いします。

一曲目「エレベーターNo.9」

延原 : 「エレベーターNo.9」は1995年に作った曲です。古いよね。

liveikoze : 古いですね。20年ぐらい前に作った曲なんですね。

延原 : 95年に「MEMPHIS TRAIN」(DISC2:一曲目)でキーボードを弾いてくれているキョンさんのプロデュースでアルバム一枚作っていて。それはイギリスと日本でリリースするということで英語バージョンと日本語バージョンの両方を作って。だけど契約とか色々なタイミングとかが重なって、何かお蔵入りにしちゃったの。「エレベーターNo.9」はそのうちの一曲。その後も何かの理由を付けてはアルバムを作るときにこの曲をやろうとしてたんだけど、何か録音まではするんだけど、全体のトーンと合わなかったりして….で、今回は最初に曲を作り出した段階で、これちょっとやろうと。

liveikoze : アルバムのハマりが良かったんですね。

延原 : そう、やりだして。結構今回はしっくり来たから。

liveikoze : ナンバーナインに何か意味はあったりするんですか?

延原 : いや、特にない。(笑)

liveikoze : ないんですか。(笑)

延原 : 響きで。何だろうね、何か…そうあるじゃん!ランボルギーニカウンタックとか意味わかんないけどスゴイカッコいいよねとか。わかる?そういう感じ。あとウィルソン・ピケットとかであんだよね。なんとかナンバーナインていう曲が。そういうのがあるからさ、そういうの見て。何なんだろうっていうのも含めて、いいじゃんって。

liveikoze : 考えちゃいましたよ。9階の部屋なのかな、とか。結構歌詞が皮肉っぽいので、何か意味があるのかなと思いました。

延原 : そうそう、あるかもよ。(笑)自分で考えてみて。

二曲目「ONE MORE TIME」

延原 : 「ONE MORE TIME」は最初リフを作ってバンドでやりだして、最初は英語の歌詞にしてたんだけどなんかちょっとね。で、まあ、今回30周年で「ONE MORE TIME」って決意表明みたいな感じですかって凄く言われるんだけど…いや急にね、30周年で決意表明するような感じではないんだよね。だからロック的な響きで。「ONE MORE TIME」ってロックで必ずいうだろみたいな。

liveikoze : 歌詞で「もう一度、何度でもやりたいだけやる」と歌っているからやっぱりバンドの決意表明なのかなと思いましたけど。

延原 : そう聞かれると…もう一発やらせろってってことだよ。(笑)

liveikoze : PVもループしてますよね。

延原 : そう、あれは監督が凄くやりたいっていったから好きにどーぞって。

三曲目「バビロンの歯車」

延原 : 曲が出来上がって聴いて凄く思ったんだけど、ガレージって言葉があるじゃん。ガレージロックみたいな。俺たちがいわゆる60年代のUSのガレージグループとかを聴きだしたころって、ガレージサイケって見方だったんだよね。60年代の音楽、特にUSのビートグループとか。80年代に60年代のモノを俺たちは、ガレージサイケというジャンルで聴いていて。多分90年代に入ってからなんだよね、ガレージっていう風になったのは。特にソニックスとか激しめのモノがガレージっていう風潮は。まあ、サイケデリックていう定義も良く分からないんだけど(笑)でも何かUSのビートグループはジャケットとかもちょっとサイケっぽい感じになってて、“サイケなんだよ”とわけもわからず受け止めていた感じがあって。この曲が出来上がって聴いたら、いわゆるフリークビートとか、ガレージのタッチで作ったんだけど、ああ、俺たちが最初に聞いていたガレージサイケな感じだって。サイケデリックじゃないんだけど、何かサイケって言葉が一緒についてくるみたいな仕上がりになったなと。

liveikoze : わかります。ギターの音とかそうですよね。

延原 : 最初に俺たちガレージサイケっていうなんか違う受け止め方をしてたあれがあったなっていう。

liveikoze : 狙ってやったわけではないんですよね?

延原 : そう、ガレージサイケというのじゃなくて、ガレージっぽいね(笑)USガレージみたいな…まあ、後にサイケがもっと良くわかってさ。サイケデリックってのはこうだよねとか…もっとディープなサイケデリックを聴きだすからさ。

liveikoze : あの当時は情報があまり入ってこない時代で、まだ良くわかっていないですからね。

延原 : そうそう。そういうことが、こういう風に形になるって面白いなと思って。歌詞は歌のとおりです。

liveikoze : 何かに対しての警鐘とかではないんですか?

延原 : いやいやそこまでいかないけどね。

liveikoze : 歌詞に関しては、アルバム全体的にそういう風な印象を受けたんですが。

延原 : 自分的にはいつもよりは多いかな。だからもうそういう時代なんじゃない?そういう時代に生きちゃってるからね。やっぱり世の中が震災以降そうじゃん。だからやっぱり歌にもなっちゃうんだろうなーって。

liveikoze : それは年齢とかも関係してきていますか?

延原 : 年齢は関係ないんじゃないかな。取り巻く環境じゃない。80年代だったら手に入らなかったような情報も、インターネットによって普通のニュースと一緒に届くじゃん。

liveikoze : そうですね。極端な話、ネットにアップされているモノの方がリアルを感じたりしますしね。

延原 : そういうモノが同時に流れてくる時代だから、どれをチョイスしたらいいのかなとか。チョイスはしないまでも、情報を全部平行線上に並べてみるとどうなのよっていう感じ。

liveikoze : 全体的に曲の歌詞にそういうことに対する不安みたいなことを感じたんですが。

延原 : それはある。かといって、それをメッセージとして振り切って「白黒出せ!」みたいな感じでもないからさ。凄くキツイ言い切り型のメッセージもそんな出せないし。みたいな感じはあるんだけど。

liveikoze : そこが延原さんぽいですよね。そこでスパッと言ったら何かちょっと違うんじゃないかと思いますし。今ぐらいがいい感じですよ。「だって俺たちそこまで関係ねーし」ぐらいな。

延原 : でも関係ねーともいってらんないなって。微妙なとこだね。