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THE PRIVATES 延原達治インタビュー。30周年記念アルバム「Les beat hi-fi mono」全曲解説。

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liveikoze : カバーアルバムについても聞きたいのですが、カバーアルバムの選曲はどんな基準で選んだんでしょうか?

延原 : カバーアルバムは最初、もうオールタイムで国境も関係無し。さあ、どれやろっかって。

liveikoze : 好きな曲をやろうという感じだったんですね。

延原 : うん。でも、結局いろんな事になるでしょ。日本のバンドだってやりたい曲はいっぱいあるし、パンクからもやりたいなとか。もちろん60’sのビートグループ、USもUKもオランダもオージーもとか色々思ったりとか。ちょっとづつ狭めていってどうしようかなと。ビートグループ、でも70年代のパブロックやニューウェイブみたいな中にも良いのがあるしなとか言いながら。前に一枚「Beat Beat Beat」っていうカバーアルバムを作っていて、その時はイギリスのビートグループがやったリズムアンドブルースの曲と、ビートグループの曲で構成していて。で、今回もやっぱりブルース、リズム アンド ブルースの曲が良いなってことになって。60年代のイギリスのビートグループ、ビートルズとかストーンズとかフーとかキッスとかヤードバーズとか、レジェンドのグループは最初の一枚目、二枚目、とかはカバーの曲が多くて。で、俺たちはそこからそのブルースとかリズム アンド ブルースを扉にして聴いていったから。でもやっぱり聴くとカッコ良い曲はだいたいストーンズとかが全部やってて。で、今回やるにあたってストーンズとかビートルズとかフーとかキンクスとかがやってない曲にしようってことになって。

liveikoze : あえてマニアックなところを狙ったということですか?

延原 : いや、マニアックではないんだよね。結局マニアックにいこうと思ったら、オニムバスアルバムにしか入ってないとか、本当にマニアの人がコンピレーションしたアルバムとか、またはそれにも入ってないシングルのB面だけで、とかってのだけを集めてきても出来るんだけど。例えばマディー・ウォーターズの曲でストーンズがやってたりとか、誰それがやってるっていう同じアルバムに入ってる他のカッコいい曲もあったりとかするじゃない、そういうとこから選んできてるから。マニアといえばマニアなんだけど超マニアが探し出してきてこの曲カッコいいだろうっていう提示の仕方よりは、俺らと同じように聴いてる人からすると「あ、この曲いいね」っていう感じだと思うよ。そんな感じの選び方かな。

一曲目「MEMPHIS TRAIN」

延原 : これル―ファス・トーマスっていう人の曲なんだけど、確か95年にイギリスツアーのときに2、3曲カバーの曲を用意しようぜってなったときに、ル―ファス・トーマスの「メンフィス トレイン」がいいねってなって。それからライブで時折やったりしてて。レパートリーだった曲。

liveikoze : なるほど。原曲は結構ホーンとか入ってるファンキーな感ですよね?でも、凄くロックテイストになっていて良いと思いました。でも汽車の音は入れないんだみたいな。(笑)

延原 : そう!でもキョンさんがゲストで来てくれたときに、ハモンドか何かの音が “カラカラカラ” ってして「これは列車の音が入るや」って言って、「あれ意識したんよ」って(笑)だから最後 “カラカラカラ” が早くなっていくんだよ。最初に録音したときはあれがゆっくりになってく設定にしていて、キョンさんが「これ電車止まるなぁ、これやったらもっかいやろ、走り去る感じにするわ」って。

二曲目「I’M READY」

延原 : これは、ファッツ・ドミノのカッコいいロックンロールの曲なんですけど。ニューオリンズでやった、レジェンダリコンサートみたいなのでキース(ローリングストーンズ)が出てて、その時「これはもう世界でも指折りのロックンロールの一曲だ」とかいってこの曲をあの有名な伝説のドラムのアール・バーマと一緒にね。これ映画になってるんだよ。

三曲目「BLACK NIGHT」

延原 : アーサー・アレクサンダーのアルバムを持っていて家でよくショーネンとかと聞いててね。アーサー・アレクサンダーはあの、ユーベタームーボーンとか、アンナとか、あのすごいショット オブ リズム アンド ブルースとかビートグループに結構影響を与えてるリズム アンド ブルースの人なんですけど。そのアーサー・アレクサンダーの「BLACK NIGHT」をよくショーネンとこれやりたいよねって言ってて、今回初めてやったんだけど、それで選んで。でもこれアーサー・アレクサンダーのオリジナルじゃないんですよ。これチャーリー・ブラウンって人が50年代にリリースしてる曲で、結構マディー・ウォーターズとかボビー・ブルーブランドとか、いろんなブルースの人がやってる名曲ではあるんですけど。俺たちアーサー・アレクサンダーで知って、それを聞いてたから。(笑)

liveikoze : そういうパターンってありますよね。

延原 : そうそう。(笑)

四曲目「ROLLIN’ STONE」

延原 : 「ROLLIN’ STONE」はもうご存知の通り、ローリングストーンズがこの曲から名前を取ったっていう有名な曲ですけど。ローリングストーンズのいとこみたいな曲で「キャットビッシュ」っていうブルースの曲があって、今回柴山さんが「ROLLIN’ STONE」をゲストで歌うことになって。ロバート・ペットウェイっていう人の「キャットフィッシュブルース」をもうずいぶん昔、柴山さんに「カッコいいからとにかく要チェックだぜ」って教えてもらっていて。俺達より10~20歳ぐらい上の人たちが最初にブルースを日本で聞き出した時にRCAブルースの古典っていう3枚組4枚組だったかな箱のアルバムがあってね、そん中に入っいて。そのロバート・ペットウェイの「キャットビッシュブルース」をビリーボーイ・アーノルドっていうブルースマンがいるんだけど、その人がカバーしてて、そのアレンジが凄くカッコよくてね。ちょっとハードな感じで。「ROLLIN’ STONE」を「キャットフィッシュブルース」の感じでやろうっていうアイデアが自分の中にあって。今度こういうカバーのレコード作るんでゲストで柴山さんにもって話したら「ROLLIN’ STONE ならサンハウスの最初の頃によくやってたから俺歌えるぜ!」ってなって。ヒロトはハーモニカが凄いのを昔から知っているから、今回参加してねって。

liveikoze : そうですね、この曲はそんな感じですよね。

延原 : ヒロトのハーモニカを柴山さんの歌が受け止める感じで、俺達はこのアレンジで演奏して。もうバッチリじゃんって感じです。

五曲目「DONNA」

延原 : リッチ・バレンスの「DONNA」は好きな曲で。とくにあの映画の中でのシーンが凄く好きで。50年代のラブソングで一番美しい曲なんじゃないかって。だから弾き語りの時にレパートリーにしていて、バンドのアコースティックセットのときにやったりもする。一曲リズムセクションが入らない録音をしたいなっていうのがあったから「DONNA」をそうしてみようかなって思って。下山淳さんにはセカンドシングルの時、プロデューサーをしてもらっていて俺たちがアマチュアの時から知ってるもう長い付き合いの先輩って感じでなので、下山淳さんにも、もちろん参加してくださいって。

liveikoze : じゃあ、本当に親しい人達をゲストで呼んだんですね。

延原 : そう、親しい人や30年間バンドをやってて知り合った、年齢関係無しでカッコよくて尊敬できるミュージシャンのみんなを。