vez インタビュー。絶望から始まるニューアルバム「Salary Bay」の全貌。
Share

liveikoze:では「目には目を、その手に花束を」ですが。なぜ今回収録したんですか?
高木 : それは、まず「Spinner」 が出来て「夜虹」と「目には目を、その手に花束を」をアルバムに持ってくれば、分厚くなると思って。
liveikoze : 幅が広がるという意味ですか?
高木 : うん。柱というのかな…
ASAKI : あとシングルだったからアルバムに入れたかったというのもあるよね。それならそれなりのアルバム仕様で、ちゃんとリズムパターンも変えて。前回のシングルはなぜか高木フトシがドラマーでだっったんで(笑)。
高木 : ドラマーっていうか…フロアータムを付け足してやってたのは俺だったんだけど(笑)。
liveikoze : この曲は vez にとっては重い曲ですよね。
高木 : アンセム的な感じではあるかな。
liveikoze : "FAKE"と歌ってますが?
高木 : 俺も"FAKE"だからさ。清潔なところに住んでなくて、美味しいものを食べれてなくて、家族と一緒に過ごす時間すらないような人の気持ちは俺にはわからないから。だから俺がどんなに偉そうなことを言っても、それは"FAKE"だよね。全部繋がっているから。でも俺はそこを見て見ぬふりは出来ないから歌にしてるだけであって。
liveikoze:あとはリスナーがどう捉えるかということですか?
高木:本当はリスナー皆んなもそうだと思うんだよ。と俺は思ってるから歌ってるんだけど。だからみんなで一緒に歌えばいいじゃん。なんか解消すればいんじゃない?ロックの力ってそこじゃん。ていうかそれでしかないと思うから。タイトルはバンクシー(イギリスのロンドンを中心に活動する覆面芸術家。)だから。バンクシーがガザに入ったニュースを観た時に本当に痺れたんだ。パンクだなって。でもあれはロックには出来ないよね。本当はやりたいけど…だから曲にしたんだ。この曲を作って良かったと思うよ。
liveikoze:なるほど。この曲を録り直ししたポイントは?
ASAKI : PVを作りたいっていうのがあって、「夜虹」か、「目には目を、その手に花束を」か「Evil of cell」かと思ってたの。そしたらまさかの「Spinner」っていう(笑)。
liveikoze : なぜ「Spinner」に?
高木 : 岡部(スタッフ)、成一君、YANAさんが最初「Spinner」がいいって言いだして。はぁ…?と思って。俺も「Evil of cell」かと思ってたんだけど、今回曲順を作ったのは、岡部だから。それが意外とマッチしていて。
liveikoze : ある意味一番近いリスナーですからね。
高木 : スタッフが凄く良いというと売れないんだよね…。でもそれがプライドでもあるから全然売れなくてもいいけど。
ASAKI : 伝わりづらいっていうね。
liveikoze : でも曲順でいえば「Spinner」が一曲目っていうのは、vezらしいと思いますよ。ただいきなり突き落とされるのは…
高木 : 絶望から始まっているからね。ただ中途半端に聴きやすいとかそういうのを考えて迎合するようなバンドじゃないからさ。それに、突き落とすとか思って無いよ。当たり前だけど絶望してほしいわけじゃないから。
ASAKI : 確かに「目には目を、その手に花束を」とかが一曲目だとイヤラシさがあるかもね。こいつら売れたいんだなって(笑)。
liveikoze:先ほど出た四曲目の「Evil of cell」に関してですが。
高木:タイトルは響きで決めちゃってるんだけど。元々頭の中の構想で悪魔的な細胞って言うのがあって。そもそも俺たちのDNAには備わっているというか欲望の切っ掛けというか…だからそれが戦争が起こる切っ掛けなんだと。
ASAKI:要は癌みたいな。
高木:そうだね。でも正確には癌も元々は良い細胞なのよ。そもそも身体が作り出す持って生まれたものではなく、脳が作り出す細胞っていうのかなぁ。ある日、環境とかを含めたものの影響で生まれる細胞というか。
liveikoze:それは人間的なダークサイドが反映されたものということですかね?
ASAKI:思考も細胞であると考えるとね。
高木:そうそうそう。思考的な。で、わかんないけど「徳川家康の時代からこの国はもう…」みたいなことをフッと思って。
liveikoze:なぜ江戸時代が…
高木:俺的になんとなく。なんかわかんないけどキーワードとして徳川家康が出て来て。で、江戸城のあり方とかがポッと浮かんできたら日光の猿。”スピーク・オブ・イービル"とかなんだけど。
liveikoze:なるほど、人間のことを皮肉ったのかなって。
高木:そう、そこ歌ってて気持ちいい。disってる感じが。ベランダの花を育てながら、猿がようって(笑)。
liveikoze:だから普段育てている"花"がワードとして出てくるんですね。ASAKIさんはどうですか?
ASAKI:俺の直感では、これがシングルだと思ったので歪みを抑えようと思った。怒り的なものは抑えようと思って。で、珍しくテレキャスターをフレーズでっていう感じで。サビでも裏メロ弾いてるんだけど、わんぱくなフレーズとか、渋いフレーズとかいろいろ試行錯誤して結果これっていう。ヴォーカルを立たせつつ、邪魔をせず、でもガキには出来ない感じの。すっごい悩んだけどね。
liveikoze:なるほど、それは表現されていると思います。
高木:素晴らしい。