vez インタビュー。絶望から始まるニューアルバム「Salary Bay」の全貌。
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liveikoze: それでは最後の曲「Reject it – One thing」についてお願いします。
高木:この曲は成一君が俺に完全にスイッチを押し切った。色々思い出したんだよ。ヘイトをやりだした頃の自分を。そもそも俺はメジャーがに対してもNO!だったから。だけどヘイトをやり始めるわけじゃん。最初の頃はなんか馴染めない感覚で…バンドをやっている人達に対してやライブハウスの空気とかお客さんとかに。
liveikoze:それはあの時代の空気感とかにではなくて?
高木:いや、俺の行動に対して周りが色々なことで叩くわけ。無精髭を剃れとかさ…
liveikoze:ある意味ロックスターを求めらていたわけですかね。
高木:だと思うけど。俺は嫌いだけどね。ロックスター。
liveikoze:でも90年代頭には、シーンもそういうスタイルを否定していませんでしたっけ?
高木:だからヘイトをやってちょっと経ってから、カートのファッションが裏原で売られるようになると逆にまた色々言われるわけ(笑)。俺はそれが嫌で髪を切ったり髭を剃ったりしたわけよ。そんな頃の自分をなんとなく思い出したんだよね。
liveikoze:スイッチが入ったというのは?
高木:その頃の自分を成一君が思い出させてくれた。良い人ぶるのもアレじゃない?的な。「そもそもフトちゃんはさー…」的なことを言われているみたいな。
liveikoze:メッセージが込められていたかもしれないですね。
高木:それは無いというか…勝手に俺が思っただけで。でも俺はそう受け取って作詞に入ったわけ。だから何を訴え何を失う…俺の根本というか絶望感というか。
liveikoze:でもそれはしょうがないと思ってもいるわけですよね?
高木:ここまで来ればね。でもまだ迷っているよ。この世界にいることが正しいのかということに。
liveikoze:でも世界は回っているわけで。
高木:でも歌うことは好きだけどね。
liveikoze:自分のスタンスを崩したくないということですかね?
高木:そうだね。スタンスというか…なんだろう?前に進むときの覚悟というか。One thing=faithというか。それすらもぶっ壊して前に進まなきゃやっていけないときのほうが多いというか。
liveikoze:凄く言いたいことは分かりますよ。結局歌詞を書く人間は全て曝け出してますから。
高木:まあ、出してるよね。悩まなければ歌詞は書けないし…ただNO!とかFUCK!とかからは遠ざかっているし、そういうものじゃないから音楽は。俺たちvezはロックをやってるけど音楽をやっているので。
liveikoze:スタイルではないですよね。
高木:うん。俺達は音楽をバンドとして作っている。
liveikoze:そういう意味ではvezにはエンターテイメント性はないですよね?
ASAKI:えっ…予想外…
liveikoze:もちろん大きい意味ではありますけど、本質に迫って行けば行くほどエンターテイメント性から遠ざかるバンドというか…純度を求めるあまり楽しさを感じられ無いというか…
高木:あーそういうことか。でも充実感はあると思っている。この年でビジネス感もないし。だから自慢だけして欲しいんだよね、このバンド好きってこと。そういうバンドで在りたいというか…純度の高いバンドだと。分かるやつには分かると思うけどみたいな。
liveikoze:このアルバムは前作より純度が増していますからね。
ASAKI : この「Reject it – One thing」に関しては、vez全員の"Set me free"的なイメージが凄くあって、自由のためにセットしてやるぜというイメージが。
高木:俺もそれかな。
ASAKI : ただのドンガラガッシャンはガキのやることだなって思う。俺的には打ち込みをやらせてもらってこの形になったかなって。
高木:一人一人が自転する。それもワンシングから始まる。それを聴いた後に一曲目の「Spinner」に戻れるじゃん。
ASAKI:それがアートであるし、アルバムだから物語なんだよね。